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長い髪の女と、私の友人
私の友達に、時々妙なものが見えると言い張る子がいた。
家で一人で居るときや道を歩いているとき、
酷いときには授業中にもそれが現れるという。

それは背が低く髪の長い女で、赤い生地に白縁の着物
(あとで知ったのだが、長襦袢と言うらしい)を
白い帯で巻いている。

顔は普通なのだが、眼だけが異様に血走り、見開かれている。
その眼がとても恐ろしいと、その子は常に言っていた。

見え始めた時期は定かではないが、物心がついたころには
すでに現れるようになっていたそうだ。

高校生になると、その女が出てくる頻度が高くなり、
そのうえ少しずつ近付いてきている気がすると、
その子は非常に怯えていた。

その子が突然学校を休みだした。先生が言うには
病気らしいのだが、前日までのピンピンしている姿を
見ている私にとっては、どうにも信用できない。

学校に来なくなってから数週間後、私はその子の家まで
様子を見に行った。その子の母親に「話し相手になってあげて」と
頼まれ、家にあげてもらった。

その子は部屋のベッドに腰掛けて、今までにないような
笑顔で笑っていた。とくに何も問題はなさそうだった。
眼を覆うように、包帯が巻かれていた以外は。

その子が言うには、髪の長い女が頻繁に出てきて
とても怖かったので、自分の両眼をえぐり出したそうだ。
それから女なんて見えなくなった。私は勝ったんだ、と
とても嬉しそうに、終始ニコニコと私に話してきた。

それからさらに数日後、学校のプリントや授業内容など、
その子に伝えたいことがいろいろあったので、再度お邪魔した。

数日前とはうってかわって、その子は酷く怯えていた。
「真っ暗なはずなのに、女が私の眼の前に立ってる。こっちを見ている」
授業内容のことなど、まったく耳に入ってないようだった。

そろそろ、その子の三回忌。
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