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ライブチャット
俺は二十代の男で会社員。自分で言うのもなんだけど、結構モテるほうだと思う。
中の中くらい?まぁ普通の平凡などこにでもいる男だと思う。

そんな俺にもささやかな楽しみがある。ライブチャットって知ってる?
まぁPCの向こうにいる女の子とボイスチャットしたりするところなんだが、
こういうところってのは大抵がこちらがポイントを購入して、それを
消費しながら遊ぶという感じで、とにかくカネがかかる。

なので、俺は待機してる女の子らを眺めるだけで大抵は満足して寝るけど、
本当に気に入った女の子がいればチャットを楽しんでいた。

その日も俺は、仕事から帰ってきてメシを食い、風呂に入ってからネットに繋いだ。

二時間ほど眺めたが、目に留まる女の子はいない。もう寝るかなと思った矢先、
物凄く好みの女の子がログインしてきた。もう見つけた瞬間にチャットを繋いでた。

基本的に俺はインカムを使ってのボイスチャットをしていたから、チャットと
言ってもスカイプみたいな感じで、普通に会話をしていた。

その子を仮に香と呼ぶことにするが、話してみると俺の好みにドンピシャだった。
明るく気さくで、それでいて話し方も丁寧でよく笑う子だった。
こういうところではエッチな流れに持っていくことが多いんだが、
そんなことも考えられないほど、普通に会話していること自体がとても楽しかった。

それから俺は香とのチャットに夢中になった。
不思議なことに、毎日タイミングが良くて、俺がログインした直後に香も入ってくる。
そのときは呑気に「運命の赤い糸ってヤツか!」とワクワクしていた。

チャットをしているときに、画像と音声に少しノイズが入ることがあったが、
まぁ向こうの機材の不具合かな、と俺は気にもしなかった。
ただ、一瞬だけど男の声が入ってたんだ。何言ってるかは解らないけど。

「誰かいるの?」と聞いたけど、「誰もいないよ? あたし一人」との答え。
まぁそりゃそうだろうなぁ…気のせいか、と納得した。

四日目を過ぎるあたりになると、ノイズの入る感覚が短くなり、ノイズ自体も長くなっていった。
「ザザ…ザザザーザ…ザ…」という感じの音が入り、映像も歪んだり停まったりすることが多くなった。
ちょっと鬱陶しいなと思ったけれども、会話は普通に続けることが出来たし、どうせ回線が
詰まっちゃってるんだろうな、と思うようにした。

男の声も相変わらず聞こえていたけど、聞こえないふりをしていた。

七日あたりにもなると、香と会って遊ぶ話なども出てきはじめた。
「一日だけでもいいし、どっかに一泊二日で旅行に行くのも良いね」と話すと、
「だったらお泊りで旅行がいいな」という答え。もう俺は浮かれちゃって、
仕事中もそのことで頭が一杯だった。どこ行こうか、温泉がいいか…。

何よりも、ボイスチャットですでにお互いの顔は知っているので安心感もある。

しかし、八日目に異変が起きた。いつも通り普通に会話をしていたんだが、今まで
なかったほどのノイズが突然走りだしたんだ。音量も大きいし、画像の荒れ具合も酷い。

香の声も途切れ途切れで何を言っているのか解らない。
必死に呼びかけていたら、とつぜん画像の荒れが停まった。

全身の血の気が引いた。画面の向こうにいる香の顔が、眼の部分は大きく歪み、
鼻は潰れ、まるでアゴが外れたように口が大きく開かれた状態で静止していた。
そして肌の色は土気色になっていて、まるで死体のようだ。

ノイズのせいで乱れるにしても、ここまで気持ち悪いことになるか?
俺は完全にパニックになって、しばらく身体を動かすことが出来なかった。

「…しもし? 聞こえ…る? おーい」

画面はそのままだが、音声は聞こえるようになった。だいぶ安心した。
なんだ、やっぱり回線のせいか…調子悪いのかな?と思い、会話を再開させた。

「ああ、聞こえるよ。なんか回線の調子が悪いみたいだね」
「そうなの? こっちはなんともないけど…。ね、いつ会おうか?」
「そうだなぁ、仕事は有給取ろうと思ってるけど、来月頭くらいになるかなぁ…」
「ね、いつ会おうか?」
「せっかちだなぁw 香はいつが都合良いの?」
「ね、いつ会おうか?」
「え、ちょっと…」
「ね、いつ会おうか?」
「ね、いつ会おうか?」
「ね、いつ会おうか?」
「ね、いつ会おうか?」…

香の声は、全く同じ喋り方でそればっかりを繰り返している。
まるで録音した音声を繰り返し流しているようだ。
もちろん、画面は相変わらず歪んだままの気味悪い状態となっている…。

ノイズ音と香の声に被って、男の声が聞こえた。
今まで全く聞き取れなかったのに、今回はハッキリと聞き取れた。
「最初から大人しくしておけば良かったのに」 確かにそう聞こえた。

突然、全ての音が消えて一切の無音になった。
香の声が聞こえた。

「じゃあ、あたしから会いに行くね」

その直後、バチン!と音がしてPCの画面が消えた。ショートしたのかもしれない。
気付いたら朝だった。俺はいつの間にか気絶していたらしい。その日は会社を休んで、
PCをすぐに粗大ごみに出した。もうこのPCを使う気にはなれなかった。

それからしばらく経つけど、俺の家には誰も来ないし、生活になんの変化もない。
新しいPCも買ったけど、俺はあの日以来、ライブチャットを完全にやめた。
あの出来事がいったいなんだったのかは解らないけど、また香がログインしてくるんじゃないか、
次に香を見てしまったら、次は俺の部屋に来るんじゃないか、と怖かったからだ。

幸い、まだ香の姿は見ていない。
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